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高田明社長が語る ブレない理念とお客様思考 #3

「伝える」ではなく「伝わる」こと

セールスの神様の髙田社長が考える、商品の良さがお客様に「伝わる」方法の極意があります。

東洋経済ONLINEより
https://toyokeizai.net/articles/-/153173

 

たかた流 販売の極意

その1:起承転結の順序は変えてもいい

その2:わずかな「間」を意図的に作る

その3:伝えたいことを絞る――最初の1分間が勝負

その4:目で伝える。身体で伝える

その5:伝える相手を意識する

その6:わかりやすく伝える

その7:面白く伝える

極意その1:起承転結の順序は変えてもいい

まずは、話の順番、「起承転結」あるいは「序破急」についてです。

一般にビジネスパーソン向けの商品と思われているボイスレコーダーをジャパネットではシニア層に向けて紹介し、よく売れたことがありました。

ボイスレコーダーをビジネスパーソンや学生にではなく、シニア層に紹介する場合、冒頭でこんなふうに言います。

「ボイスレコーダーは会議に使うのも便利ですけど、ちょっと物忘れしそうなときに、自分の声をメモするのもいいですよ」

これが導入の「序」です。

この提案で、一般にはあまり売れていなかったボイスレコーダーがジャパネットでは大ヒットしたんですよ。シニア世代という新しい市場が開拓できたんです。

生放送直前、緊張の面持ちの髙田氏(撮影:尾形文繁)

 

そして「破」の部分、展開を考えます。

「軽いでしょう。どこにでも持って行けますよ」

「使い方を説明しましょう。簡単ですよ。3つあるボタンの、ここを押すだけですぐに録音ができますよ」

使い方の説明では、聞いている人が頭の中で整理できるようにしないと伝わりません。

テレビショッピングでは、「急」、つまり結論は価格です。価格はほとんどの場合、最後にお伝えします。サプライズは最後にとっておいたほうがいいでしょう。

でも、たまには結論を最初に言うときもありますよ。

テレビショッピングはもちろんですが、会議での発表などでも、序破急を意識すれば、上手くプレゼンテーションができると思います。

序破急は起承転結と言っても同じです。

順番は変えてもいいんですよ。結論を最初に言ってもいいし、極端な話、転結起承でもいいんです。

まずは序破急や起承転結の構造をしっかり理解して、その構成や役割が理解できたら、序を後回しにして、破からいっても上手く伝わる方法があるんです。

こんな場合は、結論から言ったほうがいいな、相手の性格を考えたら、説明を尽くしてから結論を言ったほうがいいなって、状況や相手によって、話す順番にも正解があるのだと思います。

極意その2:わずかな「間」を意図的に作る

テレビショッピングなら、最も伝えたいことをいつ言うか、いつ値段を出すか。

そこでどんな間をとるか、つなぎの言葉を入れるかどうかが重要なポイントです。

「すごいでしょ、これだけのものが入っているんですよ、皆さん、どう思います?」

電子辞書なら、こういう一言が加えられるかどうか。大画面テレビなら、ただ金額を言うのではなく、

「14万9800円を、・・・・・・、5万円、5万円も引いてですよ、9万9800円。10万円切るんですよ!」

と間を作りながら言えるかどうか。そこで、伝わり方は大きく変わります。

 

声を出すまでのステップを、常に意識する(撮影:尾形文繁)

 

私が愛読している世阿弥は、『花鏡』の中で伝え方のポイントを「一調二機三声」という言葉で表現しています。

「一調二機三声」というのは、声を出すまでのステップです。

声の張り、高さ、緩急といったものを、心と体の中で整えるのが第一段階。

これが一調です。

そして、声を出す「間」をとり、いつ出すかタイミングを推し量るのが次の段階の二機です。

そして第三段階が声を発する三声。

常にこの過程を踏む必要がある、と書き残しています。

古典芸術の能と比較するのは僭越かもしれませんが、これを読んだとき、私がやっていることと同じだと思いました。

値段をお伝えするとき、声の高さはどうするか、どんな間をとるか、声を出すにあたって自分で測っています。

日常生活でも同じですよ。

例えば、親が子どもを叱ったり、諭したりするとき、言いたいことを矢継ぎ早にわーわー言っても、子どもには怒られているということしか、伝わりません。

ちゃんと理由をわからせたいと思ったら、ゆっくり間を置きながら話す。

1回でわからなければ繰り返して言う。伝わるまで言う。

そんなものですよね。

極意その3:伝えたいことを絞る――最初の1分間が勝負

テレビショッピングでも、プレゼンテーションの場合でも、最初の1分間こそが勝負です。

ジャパネットでは、若い世代に人気のあったタブレットを、シニア層に提案しています。

シニア層の皆さんには、タブレットは使いこなすのは難しいと思いこんでいる人が多いようでした。

そこで、私は最初の1分間をこんなふうに使いました。

「皆さん、これ、音声だけで簡単にインターネットができるんです。」

「ご年配の方も簡単にできるんですよ。しかも100円!」 

「でも、まだ電話しないでくださいね。これから詳しくご説明しましょう」

最初のワンフレーズで視聴者の、全部じゃありませんよ、シニア層の心をつかむ。

そのことだけを考えました。シニア世代の多くはインターネットに興味はあるんです。

でも難しいと考えている。

それで、音声だけで簡単にインターネットができるという説明から入ったんです。

そして、タブレットの本体価格は100円(あるいはゼロ円)という料金も、最初に伝えてしまいました。

もちろん、プロバイダーとの契約が必要ということは、ご納得いただけるまで説明しますが、それは後です。

最初に関心がぐっと前のめりにならないと、見続けていただけないからです。

最初の1分間で何を伝えるのか、ポイントをしっかり絞っておくことが大切です。

一度にあれもこれもと4つも5つも魅力を言われても記憶には残りません。

5つ言っても言い終わったときには、聞いた方は最初の3つは忘れていますよ。

極意その4:目で伝える。身体で伝える

例えば、小さなビデオカメラを紹介するとき、「このカメラ、小さいんですよ」と語りかけるだけでは伝わりません。

小さいことをアピールするときは、必ず手に持つことにしています。名刺を出して並べてみたりもします。

そうすれば、カメラのサイズを一目で伝えることができるからです。

手に持って見せるだけでなく、もう一方の手の指でカメラを指さす動作も加えることにしています。

すると、お客さまの視線は自然とカメラに向かいます。指さすという動作を加えるだけで、カメラが小さいことをより強くアピールできるんです。

メッセージは全身で伝えることが大切なのです。

カラオケマイクでも、私が一曲歌ったときと、そうでないときでは、売れ行きはまるで違いました。

「目は口ほどにものを言う」って言いますよね。

目がしゃべる、手がしゃべる、指がしゃべる。

テレビショッピングで商品を紹介するとき、私は口で話すだけでなく、手や指でも「話す」ように心がけています。

極意その5:伝える相手を意識する

先ほどもお話ししましたが、ジャパネットでは、例えばタブレットをシニア層向けに提案しています。

そのときは、導入から始めて、次のように続けました。

「ほら、タブレットに話しかけるだけで、旅行先でも簡単に検索できますよ」

「行きたい温泉の写真が出てきましたよ。簡単でしょう」

「こうして簡単に地図が見られますよ」

「写真もすぐに撮れますよ」

って、実際に使っているところをお見せしながら、お伝えします。女性向けには、

「季節の旬の料理のレシピがすぐに出せますよ」

「冷蔵庫の中の余った食材からぴったりのレシピが検索できますよ」

って説明しました。

業界の常識を面白いように覆し、タブレットはシニア層に受け入れていただけました。

驚くほど売れたんです。一般市場では、タブレットを購入するのは、圧倒的に若い人たちです。

ところが、ジャパネットたかたのタブレット購入者の7割以上は60歳以上のシニア世代なんです。

それは、タブレットを使っている具体的な情景を想像していただけるように考えた私たちのメッセージが伝わったからなのだと思います。

タブレットをシニア層に提案するとはどういうことか。

若い人が知りたいこととシニア層が知りたいことは違うんです。知識がまるで違うからです。

若い人ならタブレットがどんなものかわかっていますから、知りたいのは新商品の性能ですよね。

でもシニア層は違います。

タブレットっていう言葉は聞くけど、そもそもどんなもので、どんなことができるのか詳しくは知らない人が多い。

シニア層が知りたいのは、タブレットの性能ではなく。生活の中で具体的に何ができるのかだと思いました。

ですから、シニア層が知りたい情報をお伝えすることにしたんです。

それがシニア層に提案する、ということです。

同じ商品でも、何を伝えるかは相手によって変わるんです。

それが理解できていないと、的外れな紹介になってしまいます。

だからこそ「誰に伝えるのか」を強く意識することが大切なのです。

極意その6:わかりやすく伝える

私はラジオ・テレビショッピングでは難しい専門用語は使わないで、できるだけやさしい言葉で話すようにしていました。

例えば「カメラのピントを合わせて」と普通に言ってしまいますよね。

でも、私は言わないんです。代わりに「距離を合わせる」と言います。

ズームという単語も使わずに「遠くのものを近づかなくても大きく撮影できる」と説明していました。

コンパクトカメラとも言いませんでした。

「名刺くらいのサイズのカメラ」と言いました。そのほうが、大きさがイメージしやすいでしょう。

専門用語は便利ですよね。

複雑なことでも一言で言い表すことができます。

つい、使いたくなります。でも、その言葉を知らない人にはなんのことだかわかりません。

だれにもわかる言葉で伝えることが大切です。

ジャパネットが扱っている商品のほとんどは、全国どこでも買える製品です。

ジャパネットでないと買えない、というオリジナル商品もありますが、基本的には量販店などで買える商品ばかりです。

量販店でも買える商品がなぜジャパネットで売れるのか。

中には、量販店ではさっぱり売れなかった製品がジャパネットでヒットしたこともあります。

なぜでしょう。私は、自然体でわかりやすく伝えるということを何より大切にしてきたからだと思います。

極意その7:面白く伝える

わかりやすく伝えることと同じくらい大切に心がけてきたのが、「面白く」伝えることです。

いくら上手くしゃべれても、テレビを見た人が、

「ああ、これはモノを売ろうとしているんだな」

と感じてしまうと、それだけで敬遠されてしまいます。

大切なのは、テレビを見ている人に番組自体が「楽しい」「面白い」と感じていただけることだと思います。

私はそれをよくよく考えて、いろいろ試してもきました。

試してみたことが正解だったのか、失敗だったのかは、数字が教えてくれますから、見極めるのは簡単です。

情熱なきテクニックには意味がない

数字が教えてくれたのは、商品を紹介する中で

「その商品をどんなふうに使えば、生活がどのように楽しくなるのか、豊かになるのか」

「この商品によって生活はどう変わるか」

といったことが具体的に表現できたとき、番組は「楽しい」「面白い」と感じていただける、ということでした。

今は、モノをモノとして売ろうとしてもなかなか売れません。

でもハード(商品)の価値は、ソフト(使い方)を提案することで、どんどん上がっていきます。

だから、モノを売る私たちは、その商品が、どんな人が、どんな生活シーンで使うことでより輝くのか、より需要を掘り起こせるのかということを、常に想像し考えてきました。

商品を飽くことなく研究し想像を巡らせる。それができたとき、面白く伝えることができました。

伝わるために、最も大切なのは、実はパッションであり、情熱です。

強い想いがあれば、それは、身体から発せられます。

しゃべりの上手い下手に関係なく、テレビショッピングならば、「この商品の魅力を伝えたい」という想いが伝われば、売上が確実に上がります。

「強い想い」を持つこととともに、ここまで述べてきた私なり伝えるコミュニケーションのノウハウ、7つの極意が、皆さんの伝える力を高める参考になればうれしく思います

 

続き:作り手の努力を感じてもらう

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